スイート・プロポーズ
「その人、専務の弟さん」
「! ぶ、部長・・・・・・」
音もなく背後に立たないでほしい。
心臓が激しい動悸を刻む。
「専務の弟さん? でも、名前が・・・・・・」
平静をうまく装えているのか、自信がない。
「ペンネームだからな。読んでみるか?」
「えっ? あ、えっと、その・・・・・・」
しどろもどろになる円花を見て、夏目が可笑しそうに笑う。
「冗談だ」
「……からかわないでください」
「悪かった。つい、な」
口元に笑みを浮かべ、夏目はキッチンへと戻っていく。
(なんだか、違和感……あ、そっか)
キッチンに立つ夏目を見つめて、円花はその違和感に気づく。
(今日の部長、よく笑うんだ)