スイート・プロポーズ
(負けん気が強かったのね)
我ながら、可愛くない新入社員だった、と思う。
その翌年、夏目は部長になった。
あの若さで異例の大抜擢、と多くの社員が盛り上がっていたのを思い出す。
「私、小宮さんが教育係で嬉しいです」
「そう? じゃあ、もっと厳しくしようかしら。部長みたいに」
「えー!!」
驚く波奈に微笑みながら、円花は窓の外に目を向ける。
(厳しいけど、尊敬できる上司に出会えたと思ってるわ)
だからこそ、わからないのだ。
あの部長が何故、自分に告白したのかが。
「・・・・・・はぁ」
小さなため息は、隣に座る後輩に聞かれることなく、宙に溶けて消えた。
―――・・・・・・。
これといった自慢のない円花だが、タイピングの早さには自信がある。