小さな光 ~月と太陽~
「なんで…なんでそんなに冷静でいられるの?


藤はあたしが好きじゃないんだ。
だから冷静なんだ」


「好きだよ」



『好きだよ』って簡単に言う。

けどあたしは藤に『好きだよ』よりも『離れたくない』と言ってほしい。



「嘘だよ…藤はあたしが、好きじゃないんだよ。

放して、放してよ」



藤の腕の中で暴れた。

あたしが好きじゃなかったらこんなに強く抱き締めないで。


「放して、放してよ。

もう藤なんかキライ


大っキライッ」


ジタバタと暴れていると、藤の強く大きい声が聞こえてきた。


「梓ッ」


その声に驚いたあたしは暴れるのをやめた。


「誰が…誰が離れられるかよ…

俺がいつ梓をキライだって言った?


俺にはお前しか…梓しかいないんだよ。考えられないんだよ。



いい加減分かれよ、このアホッ」


「………アホじゃない」







< 219 / 311 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop