小さな光 ~月と太陽~
『月みたいな存在』



夜の暗い闇を照らしてくれるのは

月。




「じゃあアズは藤君の“太陽”になってあげなきゃね」


「太陽?
あたしになれるかな…」


「大丈夫よ。アズなら“きっと”藤君の太陽になれるから」



あたしは藤の過去を知り、藤の闇の深さを知った。

藤が『月』のように照らしてくれるからあたしは藤の『太陽』になって藤の闇を照らしてあげる…



「あたしに…なれるかな?」


「その心配は無いと思うぞ。今の藤君を見ているとなんとなく思うんだ」


「ホント?」


「あぁ、本当だ」


「お父さん…そろそろ」


お母さんが時計を見て時間を確認している。


もうお別れ。


「アズ…ちゃんと連絡してね」


「カゼには気を付けろよ」


「うん……大丈夫だよ。
2人とも頑張ってね」


「「行ってきます」」


「行ってらっしゃい」


あたしは2人の背中を見送った。

どんどん小さくなる背中。


あたしはその場からしばらく動く事が出来なかった。






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