彼女志願!2nd
今日翡翠社に出てきたのは、通常の文庫のための打ち合わせじゃない。
翡翠社のHPに掲載することになった企画のショートストーリーの打ち合わせ。
もちろん私一人じゃなくて、たくさんの作家さんが参加するんだけど、私はその何番目かを受け持っている、というわけ。
「で、凛先生のテーマは『TABOO』?」
ペラリ、ペラリと穂積さんがページをめくる。
「はい。いくつか書いてみました」
「なるほど……」
「ホームページにのせるので、あまり過激には出来ませんよね。ですから余韻というか、雰囲気重視で――たとえば彼氏がいるのに、よろめいてしまう、そういうお話はどうかと……」
たとえばそれは「教師」との恋愛だったり
「育ての父」だったり、傍にいることさえ気づかなかった同僚だったり――
そんな日常にひそむ「TABOO」をモチーフに書いてみたら面白いんじゃないかと思ったんだ。
「――彼氏がいるのに、ねえ……?」
ふと、眼鏡の奥の穂積さんの瞳が光る。