彼女志願!2nd
それから私は、寝食を忘れ無我夢中でPCの前に座り、キーボードをたたき続けていた。
「ちょっと、少しくらいご飯食べないと体壊すわよ~?」
「うん、食べる~……」
「そういいながらほんと食べないんだから……まったく」
様子を見に来たアキが呆れるほど夢中になっていた。
結局私は、いつもの長編ではなく、短編の連作が一つのお話になる「TABOO」を書くことにした。
普通、短編集というものはよっぽどの売れっ子でないと出してもらえない。
なぜかと言うと、一般的な長編と比べて「売れにくい」んだとか。
だから私は今まで短編というものを書いたことがなかったのだけど、今回は書籍になるわけでもなく、Webで公開するだけなので、こういった冒険もさせてもらえるってわけ。
そりゃ、作家の末席を汚す立場である以上、作品はすべて本で出したいのが本音だけど、この仕事は純粋に書くことを楽しめる仕事だった。