ぼくときみの幸福論
「んー、いいにおい」
カウンターから身を乗り出して鍋の中を覗き込む芽衣は、どこか子供っぽい。
「危ないからやめなさい」
「危なくないもーん」
そう言いながらカウンターに座ると、足をぶらぶらをしながら鼻歌を歌い始めた。
ん?なんだか聞いたことあるメロディー…。
「それ、なんだっけ?」
ふと問いかけると、芽衣は「ん?」とこちらを振り返った。
「うーん…なんだっけ?忘れちゃった」
そして芽衣は再び鼻歌を歌いはじめた。
なんだっけ?たしか、なんかのCMに使われていたような……
そうこうしているうちにピーピーっという機械音が、「ご飯が解凍出来ましたよ」と知らせた。