モノクロ
「aKiRaさんを知ったのはね、社会人になってからだったの」
「うん?」
「aKiRaさんのイラストってこのデジタルの時代に全て手書きのアナログだし、すごく繊細に描き込まれてるでしょ? 初めてaKiRaさんのイラストを見た瞬間、電気がビビビって走った気がした。出逢っちゃったー!みたいな。それからすっかり虜になっちゃって。
名前に“アキ”って入ってるのもすごく嬉しくて。どこが好きとかいい表せないくらいで……もうね、本当にaKiRaさんの創り出す世界観の全てがすごく好きなんだよね」
「……うん」
「あ、あとね、どんなイラストにも必ず入ってる隠しメッセージ! 2年前のイラスト集に描かれてた作品で、色とりどりのたくさんのネコのイラストの中に“自分であれ。自分をなくすな。”っていうメッセージが込められていることに気付いた時には大号泣しちゃったし。暗闇にいる気持ちだったのに、イラストとそのメッセージを見た瞬間、光が見えた気がした。イラスト集も全部集めてるし、落ち込んだ時はバイブルにしていつも眺めたりしてるんだよ。そのくらい好きなんだよね~」
ここ1年は特にどれだけaKiRaさんの写真集を開いたか、数え切れないくらい。
ただ写真集の中のイラストたちを見ているだけで、幸せな妄想世界に旅立てるんだ。
本人を目の前にしているというのに、私はつい興奮気味に語ってしまっていた。
はっとそのことに気付いてショウを見ると、普段は見せないような照れたような笑顔を浮かべ、ぽつりと言葉を溢す。
「……そっかぁ。……っていうか、ヤバいな」
「ショウ?」
「すっげぇ嬉しい。俺のイラストでそんなに他人を感動させて勇気を与えられてたなんて。普段はこうやって直接想いを聞くことなんてないし……超嬉しい。辞めずに描いてて良かった」
「何度も辞めようと思ったことあるからさ」と舌をぺろっと出しておどけるようにショウは言う。
笑っているのに、どこか悲しそうに見えるのは気のせいだろうか?
私の知らないところでショウは大変な思いとか悩みを抱えてるのかもしれない。
私の言葉で全てが報われるものでもないだろうし、ショウに掛けられる言葉はほんの少ししかないけど。
「私、これからもaKiRaさんを応援してるから。素敵な作品、楽しみにしてるね!」
「うん。アキ、ありがと」
私の言葉にショウは嬉しそうに笑ってくれた。