モノクロ
 

……先輩の笑顔が見たいなぁ……。

頭にインプットされている先輩の笑顔を思い浮かべてしまうと、つい顔が緩んでしまう。


「……へー。仕事だけじゃないみたいだな? アキ、好きな男できただろ」

「はっ!? な、何で……っ!?」


突然のショウの指摘に私は焦った。

そんな私を見て、にやりと楽しそうにショウが笑った。


「くくっ、図星! アキってわかりやすいよな~」

「う……っ」

「どんな男?」

「そっ、そんなのショウに関係ないでしょ!?」

「んだよー。アキが変な男に引っかかってないか心配してやってんじゃんよー」

「いらないし! 余計なお世話! っていうか、今そんなの関係ないじゃん!」

「仕事終わったしいいじゃん。あ、もしかして、佐山さんか? 二次元の中に留まらず、現実でもイケメン好きか~」

「はぁ!? 違うってば! 佐山さん、かわいい奥さんとお子さんがいるんだから!」

「……不倫?」

「バカなこと言わないでよっ! 違うってば!」

「えー、つまんねぇな」


唇を尖らせるショウに、「つまんなくないし!」と私は噛みつく。


「佐山さんのお子さん……梢ちゃんって言うんだけど、すっごいかわいくて、ほんと佐山さんが羨ましくてたまんないんだよね! そういう意味では佐山さんの位置がすっごく欲しいんだけど」

「何? もしかして、子供が欲しいとか思うようになった? いつか、“子供なんて無理ー!”とか言ってたよな?」

「そんな話したっけ?」

「うん。したした」


ぱっと思い当たらなくて、私は眉間に皺を寄せて頭の中の記憶を辿るけど、引っ張り出してくることはできない。

でも、今でも私が子供を産んで育てるなんて無理だとは思ってるけど、好きな人の子供が産めたら幸せだろうな、とは強く思うようになった。

それもこれも、佐山さん家族と仲良くさせてもらっているから。

本当に心から憧れている家族のかたちだから。

 
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