モノクロ
「……あーあ。いっそのこと、すっぱりと諦めた方がいいんだろうな……」
「何を諦めるんだ?」
「!」
つい出てしまった弱音に対して飛んできた疑問に、私は下げてしまっていた頭をはっと上げた。
視線の先にいるのは紀村先輩。いつものように笑顔を向けてくれている。
「よ、さきこ」
「先輩……」
辺りはすっかり暗くなってしまっているけど、建物から漏れる明かりと街灯の明かりに先輩の笑顔が照らされていて、キラキラと輝いてまぶしく見えた。
「こんなところでどうしたんだよ? 何かあった?」
「っ!」
先輩が私の隣に腰をかけながら、私の頭をぽんぽんと撫でてくる。
その笑顔はすがりたくなるほど、優しい。
……何で優しくするの?
先輩は三神さんとよりを戻したんでしょ?
彼女がいるのに、他の女に優しくしたり何の躊躇いもなく触れちゃダメだよ。……勘違いするじゃない。
私は無意識に、私の頭に触れていた先輩の手を払っていた。
「……さきこ?」
「! あっ、ご、ごめんなさい……!」
先輩は何が起こったのかわからない様子で私のことをきょとんとした表情で見ていて、私は咄嗟に謝る。
先輩の表情に、私の中に罪悪感が生まれた。
「あ、あの、せんぱ……」
「アキーーーーっ!!」
「ひゃあっ!?」
何とか誤魔化さなきゃと先輩のことを呼ぼうとした瞬間、私の上半身に後ろから力が加わった。