モノクロ
 

私の身体を包み込む腕をガシッと掴み、恐る恐る振り向くと。


「ショウっ!? な、何で!?」


そこにはショウの整った顔のドアップがあった。

でも、その表情はいつもの笑顔ではなく、眉毛がハの字を作っていて今にも泣きそうなものだ。

一体どうしたというのか。


「アキぃぃぃ~~! 慰めてー!」

「はぁ!? ど、どうしたのっ?」

「ランが……っ」

「え、ランラン?」


ランランがどうしたんだろう?と頭の中に疑問符が浮かんだ時、視界の端に先輩が立ち去っていく姿が見えた。

先輩はこっちを見ていたけど、暗くてその表情は見えなくて。

「あっ」と先輩を呼び止めようとした瞬間。


「アキぃアキぃ~助けてっ」

「え? あ、ちょ……」


ショウがすがりつくように、ぎゅううと私の身体を抱きしめてきた。

私は先輩のことが気になりながらも、ショウのいつもとは違う様子の方が放っておけなくて、ショウに目線を移した。


「ショウ?」

「うん……」

「とりあえず、落ち着こ? ほら、ここに座って」

「うん……」


ショウは私の言葉に導かれるまま私から離れ、今の今まで先輩が座っていた場所に座る。

その様子はうなだれていて、まるで飼い主に捨てられてしょんぼりしてしまった犬のようだった。

私はショウの顔を覗き込むようにして尋ねる。


「どうしたの? ランランとケンカでもした?」

「……うん……。ラン、怒っちゃった……」

「もー、何したの? あのランラン怒らせるなんて、相当じゃない?」


私の友達であるランランはショウの彼女、そしてこの前知ったけどaKiRaさんのマネージメントをしている子だ。

私がショウと仲良くなった頃には、ランランとショウはすでに恋人同士で。

コミケでショウに置いてきぼりをくらって一人寂しそうに笑っていたランランに話し掛け、見た目の大人しさとは正反対に、前向きで明るい性格のランランとすぐに仲良くなった。

寂しそうに見えた理由をそれとなく聞くと、ショウのことを考えていたのではなく、実はアニメの悲しい場面を思い出していただけだと言われた時には笑ったものだ。

ランランは私よりも2つ年下だけどその考え方はすごく大人で、この天真爛漫なショウと付き合えちゃうくらいに器も大きいんだ。

……まぁ、ふたりの“オタクな趣味”はぴったり合ってるんだけど。

二人はもう何年も一緒に暮らしていて、「結婚秒読みなんじゃない?」と仲間うちでも言うくらい仲がいい。

なのに、ケンカをしただなんて。

二人の間に一体何があったというの?

 
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