モノクロ
 

「ランの誕生日が今日でさ、さっきサプライズでプレゼントしたんだ」

「え?」

「たまには旅行にでも行こうと思って、来週末にエンジェルランドのツアーパックを」

「ツアーパックって……よくチケット取れたね! すごい! ランランも誕生日おめでとう!」


エンジェルランドは年中人気のテーマパークで、そのツアーパックはキャラクターと写真を撮れたり人気のショーが最前列で見れるなど特別なプランがあるものらしく、なかなか予約が取れないと聞く。

そんなプレミアムチケットが取れただなんて、すごい。

でも、どうしてそれをプレゼントしてケンカになるの?


「ランも喜んでくれると思ってたのに……」


ガクリと頭を垂れて両手で顔を覆い、ショウははぁ~と大きく息をついた。


「ランに言われたんだ。“アキちゃんがどれだけaKiRaと仕事するのを楽しみにしてると思うの!? あんなにaKiRaのことを好きでいてくれる人なんてそうそういないわよ! 今は仕事に集中しなさい!”って」

「……はいっ!?」


突然自分の名前が出てきて、私はついすっとんきょうな声を上げてしまった。

しかもショウは深刻な表情をしているにも関わらず、ショウの声や言い方が絶妙にランランに似ていて。

っていうか、ケンカの原因は私なの!? それはマズい……!


「ごめん! 私のせいで……! っていうか、期限を守ってもらえれば、ショウが何をしようと私は全然大丈夫だよ!?」

「あっ、ごめん、違うんだ! アキのせいとかじゃなくて……完全に俺のせいなんだ……」

「どういうこと?」

「俺、楽しみがあると、前後1週間くらいは仕事のことは何も手につけられなくなるんだ。いや、できないことはないんだけど、うまくいかないことが多いっていうか。だからできるだけイベントがある前後に、ちゃんとした仕事を入れるのは避けてて」

「……はぁ」

「イラストの期限って今月中、だったよな?」

「……あ」


今日は15日。で、来週末に旅行。ってことは……。


「スケジュールはランに任せてるところもあるし、いつもはちょっとは気にするけど浮かれる気持ちの方が大きくて、完全に見落としてたんだ。まさか……重なるなんて」

「……」


私は何も言えなかった。

厄介な癖があるというのに日程管理能力のないショウに、ただ呆れるばかりだ。

……いや、でも、今は呆れてる場合なんかじゃない。

こうなってしまったからには、何とかしなきゃ。

もちろん仕事も大事だし、私だってaKiRaさんと仕事をするのが夢のようで、すごく楽しみにしてる。

でも、仕事だけをしていればいい、なんて考えは持っていない。

どうしたらいいんだろう……。

期限を伸ばせば、他の人に迷惑を掛けることになるし、何よりもaKiRaさんの印象が悪くなってしまう。

そうならないようにするためには……。

 
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