モノクロ
「さ、佐山さんっ! このお二人って、奥さんとお子さん……若菜さんと梢ちゃんですよねっ!?」
「あら、私たちのこと知ってくれてるの?」
「あぁ。何度も写メ見せてるからな」
「はぁ!? ちょっとぉ! 写メなんて見せ合う仲なのっ? 益々怪しい~! “俺にはこんな家族がいるから、この仲は二人だけの秘密にしておこう。でも、お前のことを愛してるから”、みたいな!?」
「おい。そのくだらない妄想は何だよ。昼ドラの見過ぎじゃないのか?」
「失礼ね~。お昼はちゃんと梢と遊んでますー。お昼寝も一緒にしてるし! ね、梢っ」
「うん! まま、いっしょにおどってくれるのっ。ぱぱもいっしょにおどろっ」
「はいはい」
楽しそうに会話を繰り広げる佐山夫婦と梢ちゃん。
突飛なセリフも飛び出してくるけど、すごく楽しそうで幸せそうで。
こういうの、すごく素敵。まさに理想の夫婦で、家族だ。
若菜さんは写メで見ただけでもすごく綺麗だと思ったけど、実際に見ると、綺麗さにプラスしてキュートさも混ざっていて魅力的な人だ。
何よりも若い! 佐山さんと同じ歳くらいのはずだし私よりも年上のはずなのに、全くそうは見えない。
ぽーっと若菜さんに見とれてしまっていた私に、若菜さんがにっこりと笑い掛けてくれる。
その隣では、梢ちゃんが佐山さんに抱きついてじゃれていて、そのかわいさにも目線がいってしまう。
見たいものが多すぎて忙しいけど、ちゃんと自己紹介しなきゃいけない。
後々変なことになっても佐山さんに迷惑を掛けるし、正直、若菜さんと梢ちゃんにお近づきになりたい……!
「あっ、あのっ! 私、佐山さんと同じ企画部で働いている後輩の佐々木って言いま、……ぎゃっ!?」
「佐々木さん?」
私の突然の叫びに若菜さんが私の名前を呼ぶけど、私は若菜さんの呼び掛けに答えられる余裕なんてなかった。
だって……視界に映り込んできたのは……。