合縁奇縁~去る者は追わず来る者は拒まず
「水木君、近いよ」
水木君はわたしの後ろにいるので、わたしの赤い顔は見えない筈だ。
「えっ、あぁ…、すいません。
なんかつい、春さんだと安心しちゃって」
「それって女を感じないってこと?
ある意味セクハラ発言だぞぉ」
「いえ、僕、女の人って苦手なんです。
体力しか自慢できない僕なんて、話すとバカにされそうで気後れしちゃって。
でも春さんは別です。
春さんの前だと素直な自分でいられるっていうか……」
「水木君、良い男なんだからもっと自信持ちなよ。
人間身体が資本だし。
体力あるってことは、気力もあるってことでしょ」
「そうそう、そういうとこです!
春さんの、そういう人を色眼鏡で見ないとこに安心するっていうか……」
自惚れかもしれませんけど自信が湧いてきます、なんて水木君ははにかみながらそう呟いた。
っていうか、早くその手を肩からどけて貰えないでしょうか……