囚われた、あなたの腕の下。

「い、や……なんなの……」


身体が、震える。

するとすぐに、メールを受信する音楽が鳴る。
その後も、後も、後も……。

中は全部、あたしの写真。

今日の出社から帰宅まで。

ほぼ一日の写真だった。


「い、いやぁあぁっ!」


あたしは、携帯を投げ捨てる。
それでも、鳴り続ける携帯に恐怖がこみあげ、電源を落とした。


「なんな、の……会社に、誰か……」


震えが、止まらない。
血が下がる。

手足が先から冷たくなるのを感じた。

とにかく、空いている窓のカーテンを閉める。

電源を切った携帯を、つける気にもならない。

でも、このままあんなメールが来るのはごめんだ。

とにかく、アドレスを変えよと手にした……とたん。

何もしていないのに、携帯が起動した。
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