囚われた、あなたの腕の下。
透が、助手席の扉をあける。

一瞬なんとなく、乗るのが嫌だった。


だけど、後ろに透が立っていて、「どうしたの?」 と聞いてきたから、あたしは気のせいだと思い乗り込んだ。


透は、シートベルトをするまでそこに立っていた。

バンっと音を立てて、閉まる扉。

なんだか、とっても疲れていた。


運転席に、透が乗り込む。


一瞬、クラリと目眩がした。


「どした?」


そう言われ、あたしは寝不足かとため息をつきながら、「なんでもない」っとだけ返して、空になったペットボトルをホルダーに入れた。
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