囚われた、あなたの腕の下。
ぼんやりと、窓の外を見た。

見慣れた風景が、あっというまに過ぎる。

その時、透の携帯がなった。

あたしは、その音に驚いて身体をビクつかせた。

透は苦笑いをしながら、イヤホンマイクをつけた。


「はい?あぁ……大丈夫。うん……」

透の会話を、頭の端で聞きながら、警察署が見えてきた。

その時、再び目の前がグラリと揺れた。


アレ?

車にでも、酔った?


そして、車は警察署を通り過ぎた。


「と、透?警察署……過ぎた……」


電話をしていた透が、コチラを見てニコリと笑いながら、マイクを指した。
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