囚われた、あなたの腕の下。
触られたくない、気持ち悪い……。だけど、払える力もなく、その手に身体を預ける。


「そろそろ効いてきた?睡眠薬」


その言葉に、愕然とする。
まさか、透が睡眠薬を……使っていたなんて。


「愛理が、悪いんだよ。俺から離れるなんて言うから」


もう……声も、かすかにしか聞こえない。


「愛理……君は、俺のモノなんだよ。離れるなんで絶っっっ対に許さないし、離さない!!」


あたし……もう、ダメだ……。

透の狂喜が、鼓膜に響く。


馬鹿だな……あたし、なんで共犯がいるって考えなかったんだろ。

アラタ君が隣に居た時に、窓が割られたり、荒らされたりしたのに。

今更わかっても、もう遅い……。

だって、もう……瞼が……開かない。


ギュッと抱きしめられる。

あたしの記憶は、ココで途絶えた。




「おかえり。愛理」



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