ピエモンテの風に抱かれて
無愛想な男と変わった彼氏

入学シーズンを迎える9月のイタリア。初めてサーシャに会ったのは、昼下がりの強い日差しの下だった。



『ジュリ、入学式お疲れさん! 紹介するよ。コイツがいま一番仲良くしてるサーシャ。バスケ部のエースなんだぜ、カッコイイだろ?』



一歳年上の龍と同じハイスクールにあがった時の出来事だった。いつも話には聞いていた親友に会えるのを楽しみにしていたものだった。




だったのだが…。




『初めまして、サーシャ! わたしジュリよ。よろしくね』




『ユリ……?』




ニコリともせずに、そうつぶやいた彼は龍よりも身長が高く、何ともいえない独特な、少し陰りのある雰囲気を醸し出していた。



『ユリじゃなくてジュリだよ。俺がいつも言ってるだろ?』



『ああ、そうだったな…』



彼が着ているのは、一目で素材の良さがわかるTシャツとジーンズ。ブランド名は分からないが高級なものに違いない。

耳にはパワーストーンで話題になっているブラックダイヤであろうピアスが妖艶な光を放っている。

同じ美男子でも、素朴な龍とは全然違ったタイプだ。

そして人の顔をチラリと見て軽く頭を下げただけの無愛想な男だった。樹里はつい心の中で葛藤してしまった。















− こんな人がリュウの親友なの? −

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