ピエモンテの風に抱かれて
スキャンダルの真相は?

「…あっ、私ったら…すみません。ウトウトしちゃって」



飛鳥の声にハッと我に帰る。懐かしい思い出を語っている内に眠くなってしまったのだ。



「無理もないわよ。長いフライトの後に、丸一日の観光だったんだもの。
ま、サーシャの話はよ〜く分かったわ。無愛想だけど人気のある男ってのは、万国共通なのね。彼女が側にいないっていうのも、モテる秘訣なのかな」



そしてつけ足すように肩をすくめながら言った。



「ついでにリュウとのノロケ話も、ごちそうさま!」



つい余計な話までしてしまった樹里は顔を真っ赤にした。



「もう、ジュリったら可愛いんだから。さあ、寝る前にもう一つやることがあるわよ」



飛鳥が手にしたのはテレビのリモコン。



「これを観なきゃ、ジュリも眠れないんじゃない?」



「こんな時間に何を観るんですか?」



樹里が不思議そうに首をかしげると、画面に映し出されたのはお洒落なバー。お酒が並んだカウンターには、有名な男性芸人と人気女子アナウンサーの二人が座っている。



すると女子アナが、甲高い声で叫んだ。



「毎週話題の人をお迎えしています! 今週のお客様は、超〜イケメンの俳優さんですよ。映画、ドラマ、ミュージカル、ご自身の作詞作曲が入った2枚目のCDも大好評。ミュージシャンやモデルとしても大活躍の、真田龍さんでぇーす!!




大袈裟な拍手と高らかなファンファーレと共に、
龍が登場した。



「リュウ!?」



「テレビの番組表にはリュウの恋愛事情にも迫る、なんて書いてあったから、何か聞けるかも」



樹里は一瞬にしてテレビに釘付けになると、眠気なんて吹き飛んでしまっていた。

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