ピエモンテの風に抱かれて
「そうそう、忘れてた。悪いけど明日お客さんに配る地図をダウンロードしてプリントしてくれる? ブックマークの一番上のやつね」
「はーい、わかりました。えーっと一番上、一番うえ……?」
初めて操作する飛鳥のパソコンに少し手間取った樹里は、ブックマークではなく回覧履歴をクリックしてしまった。
− ん……? −
画面には細かい文字が無数に並んでいる。樹里の目に容赦なく飛び込んできたそれは −、
< キスの稽古だってよ! タラシの真田だったら、ベッドシーンの稽古もしてんじゃねーの? >
− ……なにこれ? 傲慢なリュウを叩く、スレッド……!? −