ピエモンテの風に抱かれて

それはまさしく、

高速道路のサービスエリアで、飛鳥が険しい顔をしながら見ていた画面が出てきたのだ。



< 恋愛してる時間がないなんてよく言うよ。クラブで女食いまくってるって、関係者が言ってた >

< いつも鏡見ててキモ〜い。究極のナル! >

< スタジオのエアコンが壊れて不機嫌になって、スタッフを困らせたらしいですよ >

< 生意気、気分屋、礼儀知らず。日本人を馬鹿にしてる。有名な監督や演出家にでさえ頭下げないなんて >

< まああれだけのスタイルでイケメンなら得してるよな。実力なくたってチヤホヤされるんだから >

< トリリンガル自慢しても漢字読めない。高飛車な帰国子女にありがち >

< サイン頼んだら、気安く話し掛けるな!と、冷たく拒否られた。これホントの話。絶対テングになってる!! >

< 聞いて聞いて! 電車の中で突然リュウにナンパされた。誰でも尻尾振ってついていくとでも思ってんのかね? 自惚れもいいとこ >

< 不倫騒動のY女優の浮気相手に真田が浮上! 誰か真相知ってっか? >

< 知ってる知ってる! Yって長身好きだしね。バラエティでも共演した時も怪しい雰囲気だったし、それに………… >




「ジュリ、どうしたの? ダウンロードできない?」



パソコンを呆然と見つめる樹里の手が止まったと気づいた飛鳥の顔から、血の気が引いていった。



「あ、ダメ! それは見ちゃダメ!!」



「先輩…、なんですかこれ」


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