ピエモンテの風に抱かれて
女の子たちの横に並んだ樹里は決心を固めていた。
− 最後の望みよ、ここで待っていればリュウに会えるはず。そうしたら勇気を出して声をかけよう −
ドキドキと期待に高まっていく心臓の音に対し、例のネットの文字が頭を過ぎる。もし龍が噂通りであったとしたら…? どうしていいか分からない不安にも襲われていた。
− でもアスカ先輩の優しさに応えなきゃいけない。絶対リュウに… −
− 会わなきゃ……! −
ワインの入った紙袋を胸にギュッと抱きしめた。