ピエモンテの風に抱かれて
「はーい、着いたよ。降りて!」
レナの言葉通りに車を降りると、目の前には30階はありそうな高級そうなマンションが。
「とりあえず私も一緒に降りるから! カオルさんは例のところで待っていてね」
三人はエントランスに向かうと、レナが振り返り大袈裟に手を振った。
「カオルさーん、おやすみなさーい!」
樹里は彼女の行動に首を傾げたが、マンションのロビーに24時間体制で待機するコンセルジュや、エレベーターから降りてきた住人とすれ違うと、すぐに察することができた。
− もしリュウと二人で帰ったのを噂されたら… −
また週刊誌ネタにされるのかと思うと、改めて芸能人の大変さに気付いてしまった。