片恋綴
「もし、振られたらどうするんだ?」

そんなことを訊くのは酷だとも思ったが、それしか言葉は出てこなかった。美春はそれに特別何かを思った様子もなく、ううん、と声を出した。

「どうしましょう」

そう言って、笑う。

やっぱり、抱き締めたくなる微笑み。

「もし、そうなったら、俺のところに来ればいい」

何も考えずに出てきた言葉に美春は目を丸くしていた。そして、暫く固まった後、俺の言葉の意味を漸く理解したのか顔を真っ赤にした。

丁度街灯の下だったので、その様はよくわかり、俺は思わず吹き出してしまった。

「え、え?」

美春はその様子に驚いたらしく、口をぱくぱくと動かした。

「俺は、お前が好きだ。ずっと前から」

ずっと前と言う程前かは少し怪しいが、取り敢えずそういうことにしておいた。その方が何となくロマンチックに思えるから。

こういうことを考える時点で少しせこいとは思うが、それは大人だから、ということで。

美春は何が起きているのかわからないようで、まだ口をぱくぱくと動かしている。


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