片恋綴
「だから、そいつに振られたら俺のところに来ればいい」

俺は確りとその言葉を伝えた。

美春が簡単にそんなことをする女だと思っているわけではない。だけれど、こう言われれば俺を意識せずにはいられたくらい純情だというとも知っている。

だから、敢えてこういう言い方をするのだ。

大人だから。

俺は俺のやり方で想いを伝える。

「え、あの、それは……」

美春は困ったように、頬を両手で覆っている。その姿はあまりに可愛らしくて、こいつのそういったところに惹かれたのだな、と実感した。

何にでも一生懸命になるところ。

「ま、考えておいてくれ」

俺はそれだけ言って、美春の頭に手を置いた。すると美春は更に顔を真っ赤にし、消え入りそうな声ではい、と答えた。








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