片恋綴


「だって彼女、顔真っ赤にしてるもん」

彼が指差した先には頬をうっすらと染めた彼女がいる。こんなに可愛いのに言われ慣れてないのだろうか。

「本当のこと言っただけなのに……」

それをたらし呼ばわりされるのは心外だ。それに私は一応女だし、彼女も女の子。

「原崎さんはいつものでいいんですよね」

私は彼に訊く。来ている以上、注文があるはずだから。
原崎さんはいつもラフな服装をしていて、何をしているのか不明な人。

「たらしで気配りが出来るとか。いい女だよね」

原崎さんは話しやすい。その理由が最初はわからなかったが、最近気付いた。何故なら彼は永久と属性が同じだから。

彼らこそ正真正銘のたらしだ。

そんな人にたらし認定をされるのは本当に心外。原崎さんは私の思いになど気付かずににこにこしているだけ。

……それをひっそりと見詰める彼女。

まあ、どうしてもこう、恋愛などというものは上手くいかないのものなのだ。





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