片恋綴
とぼとぼと夜道を歩く。

高いところに浮かんだ月はちょうど半月で辺りに雲はない。

これで雨でも降っていたなら更に感傷的な気分になったのだろうか。

私は、わざと感傷に浸るような気持ちに持っていった。これが、こんなふうに思うのは最後だから。

ふと、あと少しで家の前に着く、というところで人影を発見した。夜空に昇る煙は煙草のものだとわかる。

「佐南さん」

私はその人影の正体に気付き、その名を呼んだ。

「お兄ちゃんですか?」

実家から数メートルだけ離れたところ。そこに佐南さんがいる理由はそれしか見当たらない。

「ああ、まあ」

大学時代の同期だという二人は仲がいいのか悪いのかわからない。でもたまに二人だけに呑みに行ったりしているので嫌い合っているわけではないだろう。

「呼んできます?」

私は涙の跡を隠すように少し俯き加減で訊いた。

家の前に付けたライトは結構明るいもので、昼間ほどではないが相手の顔はよく見える。


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