片恋綴
綺麗になってから雰囲気が変わったのではない。

あの男と知り合ってからだ。

彼女が休みの日に出掛けるようになったのも、友人と食事に行くようになったのも。

それまでの彼女は休みの日は必ず家にいたし、仕事が終わったアトも真っ直ぐ帰ってきていた。

僕だけが存在していた彼女の世界は、彼に出会ったことでいとも容易く広がり、僕以外が沢山いる世界になった。

それはそれでいいのだとは思う。

彼女にとってはいいことなのだから。

でも僕としては以前のままの彼女でもよかった。寧ろ、そんな以前の彼女をずっと好きでいたのだから。

「どの服を着るの?」

それに合わせて髪をアレンジするので、ソファーに座る彼女に訊いた。

「あれ」

すると、ハンガーに掛けてあるワンピースを指差した。



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