片恋綴
淡いベージュの生地に色とりどりの花が咲いている、少し丈の短めのワンピース。

それには見覚えがあった。

「あれって」

僕が言うと、琴子はそう、と小さく笑った。

「四年前の誕生日に永久がくれたやつ」

その頃の彼女はまだ誰にも恋をしてなくて、綺麗になるつもりもなかった。でも、あのワンピースを一目見たとき、琴子に似合うと思ったのだ。

これをプレゼントしたときの琴子の顔は苦い虫を潰したようなものだった。

そして、本当に私にこれが似合うと思ってるの、と言われたのだ。

要は嫌がらせだと思われたのだ。

勿論、そんなつもりはなかった。本当に似合うと思ったのだ。

でもそれは琴子には伝わらず、彼女はそれに袖を通してくれることはなかった。



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