片恋綴
「永久って、さすがだよね。私のこと、よくわかってる」

琴子はふふ、と笑いながら言った。

「あれを貰ったときはね、なんて嫌がらせだって思ったの。似合うふずもないのに、て」

確かにそのときの琴子の態度はそんなものだった。絶対に着るものかと表情だけで語っていた。

「でもね、本当は着てみたかったの。でも、着ていくところも機会もないし、何よりやっぱり似合うはずがないって思ってた」

琴子は何処か嬉しそうに語っていく。僕はその話を聞きながら、琴子の髪を丁寧に弄る。

「だけどね、この間、着てみようと思って、着てみたの。そしたら、自分で言うのも恥ずかしいんだけど、凄く似合ってて。だから、今度からは着ようって思ったんだ」

それは嬉しいことだった。

たんに嫌がらせだと思われて終わってしまっては、僕もワンピースもあまりに可哀想だから。

「だからね、さすが永久だなって。似合うとわかってたんだなって」
琴子は少し俯いて笑う。



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