片恋綴

「こういうことは軽く告げることじゃない」

彼は原崎さんを軽く睨みながら言った。何故、こんなに人種が違うのに友人なのだろうと、今はどうでもいいことが頭を過った。

「返事は直ぐにとは言いません。貴女が嫌でなければ、暫くこの店に通わせてもらって、それで考えてもらってもいいですか？」

駄目だと言える存在がいるならお目に掛かりたい。そんなふうに真っ直ぐに見詰められたら断るなんて不可能だ。

「……わかりました」

私か答えると、彼は、ほ、と息を吐き、いかに緊張していたのかがわかる。

……それでも、私は彼の気持ちに応えることは出来ないのに。これって、物凄く残酷なことなのだろうか。