片恋綴
「あんまり考え込まない方がいいっすよ?」
晴れた朝のベランダ。
祐吾君の言葉に、私はえ、と聞き返した。
「ああ、あいつから聞いたんです。店での告白タイム」
あの子に恨みはないし、憎むこともないが、出来れば祐吾君には言わないで欲しかった。彼女のことだから、無邪気な感じで話したのだろうが、私としては絶対に知られたくなかった。
「ああ、うん……」
朝から手入れしたパーマは少し湿気を含む空気のせいで上手く纏まっていない。
「相手がお友達からでいいって言ってるんでしょ? それで満足、て人もいますから」
それは、自身のことを言っているのだろうか。それとも、私への励ましというか、気遣いなのだろうか。
それすらわからない関係なのに、好きでいる意味はあるのか。
そして、これは本当に恋心なのだろうか。
私に、あの彼みたいな真っ直ぐさがあるのだろうか。祐吾君に、友達からでいいから、と言える勇気があるのだろうか。
……否、ない。
なら、この気持ちはなんなのでしょう?