片恋綴
「俺さ、デジカメってあんまり好きじゃないんだよね」
原崎さんがファインダーを覗く仕草をしながら言う。俺の手先では煙草がちりちりと燃え、どんどんと短くなる。火傷をする前に空き缶にそれを放り込む。
「何でですか?」
デジタルカメラが当たり前で育った俺からしてみたら、フィルムタイプのカメラはどうも使い勝手が悪く思えてしまう。
デジタルカメラなら撮ったその場でどんなものかわかるし、ぶれていたり失敗していたら消せる。でも、フィルムだと現像するまでどんな写真になっているかわからないのだ。
もし現像して失敗していてもそれは残るし、なんか写真を棄てる、というのも気が引ける行為に思えてしまう。
「だってさ、その場で見れちゃうじゃない」
原崎さんは俺とは正反対の言葉を口にした。
「え?」
俺の問い掛けにカメラから顔を離す原崎さん。
その横顔はいつものものと違っていて。