片恋綴
「確かに。付き合い長いから、キョウダイみたいなものだし」
永久との付き合いは二十年になる。五歳からの付き合い。お互いのことは何でも知っていて、気兼ねのない存在。
「……そっすね」
祐吾君はそれだけ言うと視線を前に向けた。……そろそろ時間だから。
私も祐吾君と同じ方向に視線を向ける。朝の空気が髪を揺らす。
青い空が少しずつ私の心を曇らせる。輝く太陽が私の心に影を落とす。
「でも、綺麗になるのはいいことじゃないですか?」
祐吾君は素直で何処か可愛い男の子。残り物のおかずをあげれば僅かに顔を綻ばせるし、深く頭を下げてお礼を言う。
会えばいつも挨拶してくれるし、こんな私に綺麗だと言ってくれる。
礼儀正しくてきちんとしていて、優しい男の子。
それが私の知る祐吾君。
「これで彼氏が出来たら更にね」
自分の気持ちを隠すのは結構簡単。こうして心にもないことを口にすればいいだけだから。
それは年のせいなのか、それとも望みがないことを知っているからか。どちらだとしても、それが私。
素直になんて告げられない私。