片恋綴
「いいの?」
カウンターに近付くと、すっかりいつも通りになった琴子さんに声を掛けられた。琴子さんは私が原崎さんを好きなことに気付いている。
「はい。邪魔になったらいけないので」
私はそれに笑顔で答える。強がりでも何でもない。
「理生ちゃん、原崎さんに告白しないのは、望みがないから?」
琴子さんに小声で訊かれて、私は曖昧に首を傾げた。そんなこと、考えたこともなかった。そんなこと、とは告白するということ。
原崎さんを好きになってから、告白しようと思ったことは一度もない。付き合いたい、と思ったこともない。
……私、何で原崎さんのこと好きなんだろう。
急に不安が凭れる。
「別に、伝えることが全てじゃないとは思うけど」
琴子さんはそこで言葉を区切った。