片恋綴
「別にね、理生ちゃんにそうしな、て言ってるわけじゃないんだ。ただ、理生ちゃん、苦しそうだから」
私が苦しそう?
それは私自身が思ってもみなかったこと。私はただ好きで、こうしてたまに会えるだけで満足だと思っていた。
それに、伝えるも何も、原崎さんは私の気持ちに気付いている。だから、今更伝えることに意味はないように思えた。
琴子さんの言葉をぐるぐると考えているうちに原崎さんは帰っていた。千歳さんと衣川さんは残っている。
この店はコーヒーのお代わりが自由なので必要かどうか訊く為に二人に近付いた。
あと一歩というとき、千歳さんが細い指で顔を覆った。そして、静かな泣き声をあげる。
私は何が起こったのかわからずに、琴子さんに視線を向けた。すると琴子さんは少し呆れたような表情を作り、千歳さんに近付いた。
もしかしたら、衣川さんから色々聞いているのだろうか。