片恋綴



「……原崎さんには、好きな人はいますか?」

「え?」

不意に出た言葉に自分で驚いた。何も考えずに口から出てしまった言葉。

私が発した言葉はまるで宙を舞っているように、原崎さんは直ぐには答えなかった。もしかしたら、告白だと思われているのだろうか。

だとしたら、取り消さなければ。

「あ、あの……」

私は慌てて口を開いた。

「いるよ」

原崎さんはにっこりと笑って答えた。
その笑顔は今までに見たことのないもので。

「これ、初めて誰かに言った」

原崎さんは荷物を抱え直しながら、やけにすっきりとした顔でそう言ってまた笑った。

「え?」

私は思わず原崎さんの前に立ってしまった。



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