片恋綴
千歳には相当悪いことをしたという自覚はある。千歳も俺の気持ちはとうに知っていたようで、先日別れを切り出したときには、仕方無さげに笑っていた。

その笑みに罪悪感を覚え、謝りたくなったが、そこで謝ってしまっては、更に千歳を傷付けるとだけだと思い、口を閉ざした。

それでも千歳は微かな笑みを浮かべたまま、今までありがとう、と呟いてくれた。

「佐南さんの奢りで行きましょうよ」

「だから何でだよ」

しつこく誘ってくる真宏に言う。何かを企んでいるのかとも思ったが、こいつにそんな他意はないことに気付く。

こいつは単に嫌がらせに近いことをしているだけ。そしてそこに理由なんてないのだ。

掴みどころのない男。

「行きましょう。焼き肉食べたいし」

真宏はまにやけた顔で言うだけで、引くつもりはないようだ。俺はそれに根負けするように溜め息を吐いた。


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