あなたのギャップにやられています

「冴子さん、ちょっと」


雅斗は私の腕を強引に引いて、人気のない非常階段に向かった。


「冴子、どういうことなんだ」


怒る彼に一部始終を話すと、やっぱり黙って出ていこうとするから慌てて止める。


「ダメよ」

「なんで、なんでダメなんだ。
冴子はデザイン部で十分に貢献していたし、そんなの職権乱用だ」


職権乱用だって、私だってわかってる。
だけど、そんなもんだよ世の中は。


「やっぱり行ってくる」と言って歩き出した雅斗に体当たりする。
もうそうしなければ止まってくれなくて。


「お願い雅斗。わかって」


あなたまでデザイン部から外されたりしたら私……。


「わかんねぇよ!」


会社での"木崎君"とはまるで違う彼が降臨した。


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