あなたのギャップにやられています
彼の胸に顔を押し付けて、興奮して少し速くなっている鼓動を聞きながら、大好きな彼の匂いを嗅ぐ。
見かけによらず鍛えられた彼の腕は、ますます私を強く抱き締めた。
渋々納得した彼は、私と一緒にデザイン部に戻って最後の仕事を始めた。
「木崎君。色の微調整は、ここをこうして」
ずっと隣で見ていたから、きっと知っているだろうことも細かく伝える。
彼だってパソコンが全く使えない訳ではない。
私の仕事としてやらせてくれていただけなのだから。
だけど、少しでも長くこの時間が続いてくれればなんて……。
出張帰りで、本来なら簡単な報告をして帰宅するはずだった雅斗も、真剣に私の話に耳を傾けてくれる。
「ここの線の変え方は?」
「あぁ、これはここをクリックして……」
「木崎」
「はい」
「今日は帰れ。引き継ぎがまだ必要なら人事に話しておく」