あなたのギャップにやられています
気がつけば、デザイン部にはもう私たちと部長しかいなくなっていて、時計を見ると十時を越えていた。
部長もきっと待っていてくれたんだと思う。
「すみません」
「いや、いいんだ。冴子がいなくなったらやっぱりなぁ」
そんな優しい言葉をかけてくれる部長に深く頭を下げて、私たちは会社を後にした。
帰りの電車は思ったより空いていた。
出張の大きな荷物を持った雅斗は、私を座席に座らせたあと、足元に荷物を置いて自分は前に立っていた。
経理に行ったら、こうしてふたりでは帰れないかもしれないななんて漠然と考えていると、彼と付き合い始めた日のように、私を真っ直ぐに見つめる雅人の視線に気がついた。
雅斗はいつもこうして私の事を見ていてくれたんだね。
彼に心配をかけたくなくてにっこり笑って見せると、雅斗は少し困った顔をした。