あなたのギャップにやられています

「そうそう、俺の印象だと、木崎はすごく考えてるんだと」

そりゃそうだ。
大きなチャンスではあるけれど、大きな賭けでもあるわけだし。


「そう、ですよね」

「なんだ、自覚済みか?」

「自覚ですか?」


部長の言葉に首をかしげると、「違うのか?」なんて呟いている。


「自覚って、なにをでしょう?」

「木崎は冴子との将来を真剣に考えてるって言ったんだ」

「はっ?」


驚きすぎて、手に持ったままだったフォークを、危うく落とすところだった。


「帰りの新幹線でそれとなく聞いてみたんだ。"お前、好きな女がいるだろう"って」


いや、それって……それとなくじゃないですから。


「"その女を置いていけないのか?" と聞いたら、"今は離れることを我慢できても、仕事を辞めて絵に賭けて、もし失敗したら、その人を幸せにできなくなる"って。冴子、愛されてるな」


『愛されてるな』って……部長のストレートすぎる言葉に軽く固まる。

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