あなたのギャップにやられています
「だけど、後悔しないようにじっくり決めなさい。焦ったらダメ」
結局、百合ちゃんと話しても完全にすっきりという訳にはいかなかった。
重要なことだから、簡単ではない。
ミラノ風カツレツを食べ終わる頃には、とっくにドリアを完食した百合ちゃんが、まだ食べたらないのかメニューを覗き込んでいる。
「百合ちゃん、聞いてくれてありがとう。私、そろそろ帰るね」
「あら、そう?」
雅斗が帰宅する前に部屋に帰っておきたい。
美味しい料理はできなくても、せめて、電気を灯しておいてあげたい。
暗い部屋がどれだけ寂しいものなのか、雅斗と一緒に暮らし始めて、実感していたから。
「冴ちゃん、また電話しなさいよね」
「うん、ありがと」
百合ちゃんを残して先にリアンを出ようとしたときに掛けられた言葉が、ちょっとうれしかった。
多分、百合ちゃんはわかっているのよね。
私の揺れる乙女心と、雅斗の迷う気持ちをすべて。
それでもやっぱり、それは当事者の私たちが決めるしかないんだ。
雅斗が私との結婚を真剣に考えていてくれる。
それなら私は……彼が私を大切に思ってくれるように、私だって彼との未来を真剣に考えて……決断するしかない。
そして、その結論は、もう最初から決まっていたのかもしれない。