あなたのギャップにやられています

そして……。


彼は絵筆を持つと、全く別の雰囲気を醸し出す。

どんどん増えていく絵の具の汚れが、いつの間にか彼の頬にまでついている。
もうこの頃になると、恥ずかしいという気持ちは薄れて、ただひたすらに彼の作品の完成を願う。

けれど、すごく楽しみな一方で、完成が近づくことに寂しさも感じた。


「はっ」


雅斗の口から短い溜息が漏れる。
もう2時間以上集中している彼にも、休息が必要だ。


「雅斗、今日は終わろう?」

「うん。あとちょっとなんだけど、全然描けなくなった」


そう言えば、パッケージデザインをしている時もそういうことがよくあった。
それまで快調に描いていたのに、突然止まるのだ。

だけど、そういうことのあった作品はいつも採用されて、世に出回っている。

それくらい深く集中して、すべてを出し切ったという証拠なのかもしれない。

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