あなたのギャップにやられています
「私……すごく幸せ」
私がやっとのことでそう言うと、雅斗は私をそっと離して額と額をくっ付ける。
「俺もすごく幸せ」
どちらからともなく重なった唇は、しばらく離れることがなかった。
「んー。やっぱりここは、気持ちいいね」
私は雅斗とあの丘へと向かった。
もしかしたら、雅斗とこうしてこの道を歩くのは最後かもしれないと思いながら。
大きなブナの木の下にたどり着くと、私は大きく深呼吸した。
緑の匂いが肺いっぱいに行き届いて、体の隅々まで浄化されるような気がする。
「ねぇ、雅斗。ここってどうして見つけたの?」
「あー、ここ? それは……ずっと冴子が好きなのに全然気がついてもらえなくてさ、悶々としてただろ?
それで、ドライブしてたら偶然見つけたんだよ」
確かに気がつかなかったわ……。