あなたのギャップにやられています
「こちらの絵は、実は美大生が描いたものです。
全く無名の画家のもので荒削りではありますが、彼が愛する人を失ったときに描いたものだそうです」
「失った? こんなに明るい絵なのに?」
「はい。失って初めてわかった世界だとお聞きしました。
光に包まれている間は、大切なことに気がつかないのだと」
これは私が偶然見つけた絵だった。
大きな公園で風景画をスケッチしていた人に吸い寄せられるように寄って行ったら、いくつかの絵と一緒に無造作に置かれていたのだ。
その絵は、空から降ってくるような光に包まれた天使がとても穏やかな顔をして、その光に手を伸ばしていいる場面が描かれていた。
どこか幻想的な絵は、私の目を釘付けにした。
なにかの神話の一場面なのだろうかと描いた背景を尋ねたら、思わぬ答えが返ってきて、心がざわついた。
失わなければわからないこともあるのだと。