あなたのギャップにやられています

仕事が終わると、無性にあの丘に行きたくなって、またひとりで向かってしまった。

やっぱり暗い丘は、ちょっと怖い。
雅斗の言うとおり、女ひとりで来るところではない。
雅斗に二度と心配かけないって、あの時は誓ったけれど……やっぱりここは私にとって特別な場所なのだ。
彼が知ったら怒るだろうなと思いながらも、気持ちを抑えることができなかった。


「雅斗、私もあなたに出会えたこと、ちっとも無駄じゃなかったよ」


キラキラきらめく星にそう訴えかけたって、返事があるわけではない。
だけど、こうしているととても落ち着くのだ。


「あーぁ。でも辛すぎる」


無駄じゃなかったけれど、やっぱり辛いものは辛い。
雅斗が世に認められれば認められるほど、私からは遠くなってしまうから。


「なにが、辛いの?」

「えっ?」


突然後ろから話しかけられて、思わずビクッと震える。
まずい、まずいぞ。
こんなところで襲われたら……。


後ろで一歩近づく足音がする。

逃げなくちゃ!
私は振り向かずに走り出した。

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