あなたのギャップにやられています
「そんなに色っぽい声出して。なんならここでする?」
「しないわよ!」
あの頃と変わらない雅斗の言葉に笑みがこぼれる。
本物だ。
ここにいるのは紛れもなく、木崎雅斗だ。
雅斗は私を強く抱き寄せて、そのままじっと動かなくなる。
私も彼の腰に手をまわして、もう二度と離れまいとしがみついた。
自分から別れを言い出したくせに、おかしいけれど。
「俺さ」
「うん」
「スゲー頑張った」
「うん」
知っているよ。
あのなんとかさんという人の後押しがあったとはいえ、彼の成功は結局、雅斗の努力の賜物だと思う。
全く違う環境に飛び込んで、成功が約束されているわけでもないのに、ただひたすらに絵を描き続けて。
私だったら不安に怯えて、気が狂うよ。
そう仕向けたのは私だけど。