あなたのギャップにやられています

「儲けるためだけの絵は描きたくないんだ。
好きな時に好きなものを。俺にはそれが合ってるとわかった。
それに"女ひとりに振り回されて夢を台無しにする男なんて、魅力ない"って前に冴子言ったじゃん」

「う、うん」


あれは……売り言葉に買い言葉というか。


「ひとつ夢はつかんだ。でも、やっぱり諦められない夢がもうひとつあるんだ」

「もうひとつ?」

「好きな女と生活を共にして幸せに暮らすこと。
それには安定した経済力だって必要だ。
俺にはずっと待ってるって言ってくれた女がいるから」


勝手に流れていく涙を、彼の大きな手が無造作に拭う。


「だけど、ひとつ我慢してもらわなきゃいけないんだ」


雅斗は私の肩を両手でつかんで振り向かせ、私の瞳を見つめると、ゆっくり口を開いた。


「I cannot change your family name」

「えっ?」

「But will you marry me?」

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